2×2, 3×3, 4×4 の行列式の計算方法[練習問題付き]

このページでは、2次行列式、3次行列式、4次行列式のそれぞれの行列式の計算方法と、その覚え方を解説しています。さらに理解を深めるための練習問題も用意しています。お役に立てば嬉しく思います。

それでは見ていきましょう。

なお、ここで解説している計算方法で行列式の値を求められる理由は『行列式とは?意味と定義と求め方~行列式とは何か驚くほどよくわかる解説~』で解説しています。

目次

1. 2次行列式 (2×2の行列式) の計算方法

2次行列式の計算方法は次の通りです。

2次行列式の計算方法

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right|
=ad-bc
\end{eqnarray}\]

これは以下のアニメーションで示しているように、右向きの対角線成分を掛け合わせたものを足し、左向きの対角線成分を掛け合わせたものを引く、というように覚えるのが一般的です。このたすき掛けによる覚え方を「サラスの方法」と言います。

以下にいくつか問題と解答を用意しているので、実際に計算してみましょう。

計算問題と解答①

問題:以下の行列の行列式を求めよ。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc} 1 & 3 \\ -2 & 1 \end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

解答

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc} 1 & 3 \\ -2 & 1 \end{array} \right|
&=& 1\cdot1-3\cdot(-2)\\
&=& 1+6\\
&=&7
\end{eqnarray}\]

解説

これは、この行列で線形変換をした場合、空間の面積が7倍になることを示しています。この意味を復習したい方は『行列式とは?意味と定義と求め方~行列式とは何か驚くほどよくわかる解説~』をご覧ください。

計算問題と解答②

問題:以下の行列の行列式を求めよ。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc} 2 & 0 \\ -2 & -1 \end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

解答

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc} 2 & 0 \\ -2 & -1 \end{array} \right|
&=& 2\cdot(-1)-0\cdot(-2)\\
&=& -2+0\\
&=&-2
\end{eqnarray}\]

解説

このように行列式の値はマイナスになることもあります。マイナスがある場合は、基底ベクトルの位置が入れ替わって空間が反転していることを表しています。値そのものが線形変換後の空間の倍数を示すことは変わりません。詳しくは『行列式とは?意味と定義と求め方~行列式とは何か驚くほどよくわかる解説~』の最後で説明していますので確認しましょう。

計算問題と解答③

問題:以下の行列の行列式を求めよ。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc} 1 & 2 \\ 1 & 2 \end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

解答

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc} 1 & 2 \\ 1 & 2 \end{array} \right|
&=& 1\cdot2-2\cdot1\\
&=& 2-2\\
&=&-0
\end{eqnarray}\]

解説

このように行列式の値はゼロになることもあります。具体的には、行列式の中に値が同じ行または列がある場合にそうなります。これについては『行列式の公式(性質)~必ず抑えておきたいもの7つ~』で解説しています。

なお行列式の値がゼロということは、その行列には逆行列が存在しないことを意味します。これについては『逆行列の条件の徹底解説~逆行列が存在しないのはどういう場合?~』で解説しています。

2. 3次行列式(3×3 の行列式)の計算方法

3次行列式の計算方法は次の通りです。

3次行列式の計算方法

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc}
a & b & c \\
d & e & f \\
g & h & i
\end{array} \right|
=aei+bfg+cdh-bdi-afh-ceg
\end{eqnarray}\]

これもサラスの方法で覚えるのが一般的です。以下のアニメーションのように、行列式の右側に一列目と二列目を加えてから、右向きの対角線成分を掛け合わせたものを足し、左向きの対角線成分を掛け合わせたものを引きます。

以下に問題と解答を用意しているので、実際に計算して慣れておきましょう。

計算問題と解答①

問題:以下の行列の行列式を求めよ。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc}
1 & -3 & 1\\
-2 & 1 & 0 \\
2 & 1 & -2
\end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

解答

サラスの方法によって次のように解くことができます。

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc}
1 & -3 & 1\\
-2 & 1 & 0 \\
2 & 1 & -2
\end{array} \right|
&=&
(1\cdot1\cdot-2)+ (-3\cdot0\cdot2) + (1\cdot-2\cdot1)
– (-3\cdot-2\cdot-2) – (1\cdot0\cdot1)-(1\cdot1\cdot2)\\
&=& -2+0-2+12-0-2\\
&=&6
\end{eqnarray}\]

解説

これは、この行列で線形変換を行うと空間の体積が6倍になることを示しています。この意味を復習したい方は『行列式とは?意味と定義と求め方~行列式とは何か驚くほどよくわかる解説~』をご覧ください。

計算問題と解答②

問題:以下の行列の行列式を求めよ。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc}
1 & 3 & 1\\
2 & 1 & 0 \\
1 & 1 & 2
\end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

解答

サラスの方法により次のように解くことができます。

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc}
1 & 3 & 1\\
2 & 1 & 0 \\
1 & 1 & 2
\end{array} \right|
&=&
(1\cdot1\cdot2 )+ (3\cdot0\cdot1) + (1\cdot2\cdot1)
– (3\cdot2\cdot2) – (1\cdot0\cdot1)-(1\cdot1\cdot1)\\
&=& 2+0+2-12-0-1\\
&=&-9
\end{eqnarray}\]

解説

これは、この行列で線形変換をした場合、空間の体積が9倍になることを示しています。値がマイナスになっていてもこの点は変わりません。マイナス符号は、各基底ベクトルがお互いに追い越して、空間が反転したことを意味しています。これについては『行列式とは?意味と定義と求め方~行列式とは何か驚くほどよくわかる解説~』の最後に触れています。

計算問題と解答③

問題:以下の行列の行列式を求めよ。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc}
1 & 3 & 2\\
2 & 1 & 4 \\
1 & 1 & 2
\end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

解答

サラスの方法により次のように解くことができます。

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc}
1 & 3 & 2\\
2 & 1 & 4 \\
1 & 1 & 2
\end{array} \right|
&=&
(1\cdot1\cdot2 )+ (3\cdot4\cdot1) + (2\cdot2\cdot1)
– (3\cdot2\cdot2) – (1\cdot4\cdot1)-(2\cdot1\cdot1)\\
&=& 2+12+4-12-4-2\\
&=&-0
\end{eqnarray}\]

解説

このように行列式の中に値が同じ行(列)、もしくは単純にある行(列)を定数倍しただけの別の行(列)がある場合は行列式の値はゼロになります。これについては『行列式の公式(性質)~必ず抑えておきたいもの7つ~』で解説しています。

なお行列式の値がゼロということは、その行列には逆行列が存在しないことを意味します。これについては『逆行列の条件の徹底解説~逆行列が存在しないのはどういう場合?~』で解説しています。

3. 4次行列式(4×4 の行列式)の計算方法

4次行列式以上になるとサラスの方法で計算することはできません。余因子を使った行列の展開が必要になります。これについては『余因子による行列式の展開とは?~アニメーションですぐわかる解説~』で解説しているので先にそちらをご確認ください。

それでは、以下の4次行列を使って見ていきましょう。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc}
a_{11} & a_{12} & a_{13} & a_{14}\\
a_{21} & a_{22} & a_{23} & a_{24}\\
a_{31} & a_{32} & a_{33} & a_{34} \\
a_{41} & a_{42} & a_{43} & a_{44}
\end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

まずはこの行列を展開します。どの行どの列でもいいのですが、ここでは例として第一行について展開しましょう。

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc}
a_{11} & a_{12} & a_{13} & a_{14}\\
a_{21} & a_{22} & a_{23} & a_{24}\\
a_{31} & a_{32} & a_{33} & a_{34} \\
a_{41} & a_{42} & a_{43} & a_{44}
\end{array} \right|
&=&
a_{11}
\left| \begin{array}{cc}
a_{22} & a_{23} & a_{24}\\
a_{32} & a_{33} & a_{34} \\
a_{42} & a_{43} & a_{44}
\end{array} \right|

a_{12}
\left| \begin{array}{cc}
a_{21} & a_{23} & a_{24}\\
a_{31} & a_{33} & a_{34} \\
a_{41} & a_{43} & a_{44}
\end{array} \right|
+
a_{13}
\left| \begin{array}{cc}
a_{21} & a_{22} & a_{24}\\
a_{31} & a_{32} & a_{34} \\
a_{41} & a_{42} & a_{44}
\end{array} \right|

a_{14}
\left| \begin{array}{cc}
a_{21} & a_{22} & a_{23}\\
a_{31} & a_{32} & a_{33} \\
a_{41} & a_{42} & a_{43}
\end{array} \right|
\end{eqnarray}\]

こうして4次行列式を3次行列式の和で示すことができます。

3次行列式の計算方法はサラスの方法でわかっているので、あとはこれを計算するだけです。次のようになります。

\[\begin{eqnarray}
a_{11}(a_{22}a_{33}a_{44}+a_{23}a_{34}a_{42}+a_{24}a_{32}a_{43}-a_{22}a_{34}a_{43}-a_{23}a_{32}a_{44}-a_{24}a_{33}a_{42})\\
-a_{12}(a_{21}a_{33}a_{34}+a_{23}a_{34}a_{41}+a_{24}a_{31}a_{43}-a_{21}a_{34}a_{43}-a_{23}a_{31}a_{44}-a_{24}a_{33}a_{41})\\
+a_{13}(a_{21}a_{32}a_{44}+a_{22}a_{34}a_{41}+a_{24}a_{31}a_{42}-a_{21}a_{34}a_{42}-a_{22}a_{31}a_{44}-a_{24}a_{32}a_{41})\\
-a_{14}(a_{21}a_{32}a_{43}+a_{22}a_{33}a_{41}+a_{23}a_{31}a_{42}-a_{21}a_{33}a_{42}-a_{22}a_{31}a_{43}-a_{23}a_{32}a_{41})
\end{eqnarray}\]

これが4次行列式の計算方法です。

5次行列式以上のサイズになってもやり方は同じです。計算可能なかたちにまで行列式を展開してから計算します。しかし、これを手計算で行うのは、気が遠くなるほど面倒です。それにPythonなどのプログラム言語を使えば、あっという間に正しく計算してくれますので、今では手計算ができる必要性はほとんどありません。

それでも解いてみたいという方は、以下に4次行列式の問題と解答を一つだけ用意しましたのでチャレンジしてみてください。

計算問題と解答①

問題:以下の行列の行列式を求めよ。

\[\begin{eqnarray}
\left[ \begin{array}{cc}
3 & 2 & 1 & 1\\
1 & 4 & 1 & 2\\
1 & 0 & 3 & 3 \\
1 & 1 & 2 & 4
\end{array} \right]
\end{eqnarray}\]

解答

まずは行列式を展開します。

\[\begin{eqnarray}
\left| \begin{array}{cc}
3 & 2 & 1 & 1\\
1 & 4 & 1 & 2\\
1 & 0 & 3 & 3 \\
1 & 1 & 2 & 4
\end{array} \right|
&=&
3
\left| \begin{array}{cc}
4 & 1 & 2\\
0 & 3 & 3 \\
1 & 2 & 4
\end{array} \right|

2
\left| \begin{array}{cc}
1 & 1 & 2\\
1 & 3 & 3 \\
1 & 2 & 4
\end{array} \right|
+
1
\left| \begin{array}{cc}
1 & 4 & 2\\
1 & 0 & 3 \\
1 & 1 & 4
\end{array} \right|

1
\left| \begin{array}{cc}
1 & 4 & 1\\
1 & 0 & 3 \\
1 & 1 & 2
\end{array} \right|
\end{eqnarray}\]

あとは、サラスの方法を用いて、この3次行列式を個別に解いていくのですが、ここではここからさらに展開して、2次行列式にしてしまおうと思います。

次のようになります。

\[\begin{eqnarray}
3(
4
\left| \begin{array}{cc}
3 & 3 \\
2 & 4
\end{array} \right|
-1
\left| \begin{array}{cc}
0 & 3 \\
1 & 4
\end{array} \right|
+2
\left| \begin{array}{cc}
0 & 3 \\
1 & 2
\end{array} \right|
)\\
-2(
1
\left| \begin{array}{cc}
3 & 3 \\
2 & 4
\end{array} \right|
-1
\left| \begin{array}{cc}
1 & 3 \\
1 & 4
\end{array} \right|
+2
\left| \begin{array}{cc}
1 & 3 \\
1 & 2
\end{array} \right|
)\\
+(
1
\left| \begin{array}{cc}
0 & 3 \\
1 & 4
\end{array} \right|
-4
\left| \begin{array}{cc}
1 & 3 \\
1 & 4
\end{array} \right|
+2
\left| \begin{array}{cc}
1 & 0 \\
1 & 1
\end{array} \right|
)\\
-(
1
\left| \begin{array}{cc}
0 & 3 \\
1 & 2
\end{array} \right|
-4
\left| \begin{array}{cc}
1 & 3 \\
1 & 2
\end{array} \right|
+1
\left| \begin{array}{cc}
1 & 0 \\
1 & 1
\end{array} \right|
)\\
\end{eqnarray}\]

後は、この2次行列式の和を解くだけです。

\[\begin{eqnarray}
3\{4(3\cdot4-3\cdot2)-1(0\cdot4-3\cdot1)+2(0\cdot2-3\cdot1)\}\\
-2\{1(3\cdot4-3\cdot2)-1(1\cdot4-3\cdot1)+2(1\cdot2-3\cdot1)\}\\
+\{1(0\cdot4-3\cdot1)-4(1\cdot4-3\cdot1)+2(1\cdot1-0\cdot1)\}\\
-\{1(0\cdot2-3\cdot1)-4(1\cdot2-3\cdot1)+1(1\cdot1-0\cdot1)\}\\
=3\{4(6)-1(-3)+2(-3)\}-2\{1(6)-1(1)+2(-1)\}\\
+\{1(-3)-4(1)+2(1)\}-\{1(-3)-4(-1)+1(1)\}\\
=3(24+3-6)-2(6-1-2)+1(-3-4+2)-1(-3+4+1)\\
=
3(21)-2(3)+(-5)-(2)
=50
\end{eqnarray}\]

このように解答は \(50\) です。ご覧の通り、うんざりするほど面倒です。こうした計算はプログラミングに頼るべきです。

解説

これは、この行列で線形変換を行うと四次元空間が50倍になることを示しています。

まとめ

このように、2次行列式と3次行列式はサラスの方法によって、比較的簡単に手計算することが可能です。

ただし4次行列式以上では、行列式を展開して、3次以下の行列式の和にまで展開する必要があります。そして計算が非常に面倒なものになります。しかし幸運なことに、実際上は4次以上の行列式を手計算できる必要は特にありません。



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