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行列式とは?意味と定義と求め方~行列式とは何か驚くほどよくわかる解説~

行列式は、線形代数において必ずお世話になる計算式であり、様々なことを表す非常に便利な指標です。しかし、教科書を見てみると、「線型変換によって空間の体積要素が何倍に変わるかという概念を抽象化したもの」というように定義されており、なかなか字面だけでは理解することが困難です。

そこで、このページでは行列式を深く理解するための第一歩として、「行列式とは何か?」ということをアニメーションを使って驚くほどよくわかるように解説していきます。

今まで、何なのかよくわからずに計算ばかりしていたという方でも、行列式というものに初めて触れるという方でも、必ず簡単に理解することができます。

それでは始めましょう。

目次

  • 1. 行列式とは何か
    • 1.1. 線形変換で空間は拡大・縮小する
    • 1.2. 行列式は空間の拡張倍数を求めるもの
    • 1.3. 行列と行列式の違い
  • 2. 行列式の求め方
    • 2.1. サラスの方法
    • 2.2. 行列式の計算方法の求め方
  • 3. まとめ

1. 行列式とは何か

早速、行列式の意味と定義について誰にでもわかるように解説します。ここで出てくるアニメーションをご覧いただければ、誰でも必ずはっきりと理解できるようになります。

まずは、線形変換で空間は拡大・縮小するというところから解説を始めたいと思います。

1.1. 線形変換で空間は拡大・縮小する

線形変換においては、基底ベクトルの行先(=行列の各列)を追えば、行列を見ただけで空間がどう変化するのかを具体的にイメージすることができるようになるということは、『線形変換とは?誰でも必ず理解できるようにアニメーションで解説』の記事でお伝えしました。

そして、もう一つ別の角度から空間の変化をイメージするための方法があります。これについてお話しする前に、まずは以下の短いアニメーションをご覧ください。

このように、二次元空間で線形変換を行うと、ある行列は面積を引き伸ばしたり、また別の行列は面積を縮小したりすることに気付きます。

1.2. 行列式は空間の拡張倍数を求めるもの

以上のように線形変換によって空間が何倍かになるのであれば、行列を見ただけでその倍数が分かったとしたら、私たちは線形変換をもっと正確にイメージできるようになります。

そして、そのためのツールこそが「行列式」です。早速、以下のアニメーションをご覧ください。行列式がどのようなものであるかをハッキリと理解することができます。

このように行列式は、線形変換後に空間が何倍になるのかを明らかにしてくれるものなのです。

ここで、「空間」についても触れておきましょう。 \(2×2\) の場合は、二次元空間(平面空間)なので、行列式は面積の倍数を表します。\(3×3\) の場合は三次元空間(立体空間)なので、行列式は体積の倍数を表します。

参考に、以下のアニメーションは三次元空間で、線形変換によって単位立方体の体積が変化する様子を描いているので、ぜひご確認ください。

四次元空間以上になると人間の頭脳ではイメージすることが不可能ですが、それぞれの次元における空間の倍数を表します。

1.3. 行列と行列式の違い

行列と行列式の違いについても触れておきましょう。

まず行列式には、いくつかの表記方法があります。行列を \(A\) としたら、行列式には “\(\mathrm{determinant}\)” を表す \(\mathrm{det}\) をつけて、\(\mathrm{det}A\) と表したり、行列を絶対値記号 \(|\) で囲んで \(\hspace{3mm} |A|\) と表したりします。

たとえば以下のように書きます。左が行列で右が行列式です。

\[
A=
\left[ \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right]
,\hspace{5mm}
\mathrm{det}A
=
|A|
=
\left| \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right|
\]

そして行列は空間を線形変換するための関数(写像)であり数の並びです。一方で行列式は、空間が何倍になるのかを示す単一の値(スカラー)です。

ここまでのポイントまとめ
行列式とは、線形変換後に空間が何倍になるかを明らかにする計算式のこと。空間とは二次元空間(平面空間)なら面積であり、三次元空間(立体空間)なら体積のことである。そのため行列式は行列ではなく、倍数を示す単一の値(スカラー)である。

2. 行列式の求め方

それでは、数字から行列式の値を求める方法を見ていきましょう。ここでは二次行列式と、三次行列式について覚えることにしましょう。

2.1. サラスの方法

結論から言うと、 \(2×2\) と \(3×3\) の行列式は次のように計算します。

\(2×2\) の行列式の公式

\[
\mathrm{det}A
=
\left| \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right|
=ad-bc
\]

計算例を確認する

たとえば以下の行列式は、次のように計算します。

\[
\left| \begin{array}{cc} 3 & 2 \\ 0 & 2 \end{array} \right|
=
3\cdot 2-2\cdot 0
=
6
\]

これは空間の面積が \(6\) 倍になることを示しています。

そして \(3×3\) の行列式は次のように計算します。

\(3×3\) の行列式の公式

\[\begin{eqnarray}
\mathrm{det}A
=
\left| \begin{array}{ccc} a & b & c\\ d & e & f \\ g & h & i \end{array} \right|
& = &
a \cdot \left| \begin{array}{cc} e & f \\ h & i \end{array} \right|
-b \cdot \left| \begin{array}{cc} d & f \\ g & i \end{array} \right|
+c \cdot \left| \begin{array}{cc} d & e \\ g & h \end{array} \right| \\
&=&
a(ei-fh)-b(di-fg)+c(dh-eg)
\end{eqnarray}\]

計算例を確認する

たとえば以下の行列式は、このように計算します。

\[\begin{eqnarray}
\mathrm{det}A
=
\left| \begin{array}{ccc} 3 & 2 & 1\\ 1 & 2 & 1 \\ 2 & 2 & 2 \end{array} \right|
& = &
3 \cdot \left| \begin{array}{cc} 2 & 1 \\ 2 & 2 \end{array} \right|
-2 \cdot \left| \begin{array}{cc} 1 & 1 \\ 2 & 2 \end{array} \right|
+1 \cdot \left| \begin{array}{cc} 1 & 2 \\ 2 & 2 \end{array} \right| \\
&=&
3(2\cdot 2 -1 \cdot 2)-2(1 \cdot 2 -1 \cdot 2)+1(1 \cdot 2 -2 \cdot 2)\\
&=&
3(2)-2(0)+1(-2)\\
&=&4
\end{eqnarray}\]

これは空間の体積が \(4\) 倍になることを示しています。

実際に手計算を行うときは以下のアニメーションで示しているように、たすき掛けをすると覚えておくと良いでしょう。この覚え方を「サラスの方法」といいます。

ぜひ色々な行列式の値を実際に計算してみてください。慣れれば、行列を見ただけで、ある程度イメージできるようになっていきます。そこまで習熟できれば理想的です。

なお、行列式の計算方法と計算例は『2×2, 3×3, 4×4 の行列式の計算方法[練習問題付き]』でより詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。

2.2. 行列式の計算方法の求め方

さて、上で見たように、行列式を使えば、ある行列で線形変換したときに空間が何倍になるのかを計算することができます。それでは、なぜこの計算方法で、空間の倍数がわかるのでしょうか。

\(2×2\) の行列式で考えてみましょう。

\[
\mathrm{det}A
=
\left| \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right|
\]

まず、この行列式の \(a\) は基底ベクトル \(\hat{\imath}\) が \(x\) 軸方向に何倍になるかを示しています。そして \(d\) は基底ベクトル \(\hat{\jmath}\) が \(y\) 軸方向に何倍になるかを示しています。そして、\(b\) と \(c\) はざっくりと言うと、平行四辺形が対角線軸方向にどれだけ拡大・縮小するかを示しています。

言葉で言うとこんがらがってしまいそうですが、以下のアニメーションで確認していただくとすんなりと理解することができます。

いかがでしょうか。行列式はこのように求められているのですね。

\(3×3\) の行列式の場合も考え方はまったく同じです。幾何学的にアニメーションで表すのは大変なので割愛しますが、線形変換後の立体の体積を計算しているのと全く同じ計算方法になっています。

3. まとめ

いかがだったでしょうか。以上が行列式です。行列式に慣れるために、ぜひご自分の手で、様々な行列式を計算してみてください。そうしているうちに、いくつか面白いことにも気づくことになります。

たとえば、行列式の値がマイナスの値になったり、ゼロになったりすることがあります。

行列式の値がマイナスの場合、その絶対値は変わらず空間の倍数を表しています。そしてマイナスの符号は、基底ベクトルの一方が他方を追い越して空間の表裏が反転したことを表しています(一枚の紙の表裏が入れ替わった様をイメージしてください)。

そして以下のアニメーションで見られるように行列式の値はゼロになることもあります。

このように行列式の値がゼロになるのは特殊な例であり、これによってあること・・・・がわかるようになっています。

これについては次のページで解説することにします。当ページが行列式の理解に役立ったなら嬉しく思います。

次に読みたいページ
行列式と関わりが深いものに「逆行列」というものがあります。逆行列を理解すれば、これまで学んできたさまざまな概念がどんどん一本につながっていきます。『逆行列とは?線形代数のために抑えておくべきポイントまとめ』で解説していますので、ぜひ読み進めてください。

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Filed Under: 行列式 moriyama

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