「と、」か「、と」か?「と」と読点について

「と」と読点の関係について、「と、」とすべきか「、と」とすべきか迷うという声が少なからずある。特によくある質問は、「『と』を並列表記の繋ぎで使う場合、読点は必要か?」「かぎかっこの後の『と』に読点を打つべきかどうか?」の二つだ。ここでは、この二つの質問に回答する。

結論から言うと、この場合は『読点の使い方:良文を書くための四大原則と例外ルール』で解説している四大原則のうち、「長い修飾語の間に打つ」・「かかる言葉と受ける言葉が離れる場合に打つ」に従えば良い。

それぞれ見ていこう。

「と」を並列表記の繋ぎで使う場合

「と」を並列表記の繋ぎとして使う場合は、四大原則のうち、「長い修飾語の間に打つ」に従えば良い。

例えば、以下の文を見比べてみよう。

  • 足は速いが怠け者で持久力のないウサギと、足は遅いが決して歩みを止めないカメ
  • 足は速いが怠け者で持久力のないウサギと足は遅いが決して歩みを止めないカメ

このように、長い修飾語を伴う語句をつなぐ場合は、「と」の後に読点を打つべきだ。

しかし、つなぐ語句が短いのであれば、以下のように邪魔になる。

  • ウサギとカメ
  • ウサギと、カメ

かぎかっこの後の「と」に読点を打つべきかどうか

かぎかっこの後の「と」に読点を打つべきかどうかについては、次のようにルール化できる。

  • 「と」の後に述語的語句が来る場合は打たない
  • 「と」の後に主格的語句が来る場合は打つ

まず、「と」の後に述語的語句が来る場合は打たない。

「述語的語句」とは、簡単に言うと動詞のことだ。この場合は、「と」の後には読点は打たず、述語的語句の後に打つべきだ。

文例を見てみよう。

  • 「ガスの元栓は閉めたかな」と不安になって、私たちは確認に戻ることにした。
  • 「ガスの元栓は閉めたかな」と、不安になって私たちは確認に戻ることにした。
  • 「ガスの元栓は閉めたかな」と不安になって私たちは確認に戻ることにした。

このように、述語的語句の前に読点が入っているNGパターンのものはわずらわしさを感じる。

なお、こうやって見てみると、「不安になって」の後に読点を打つべきであるのは、「と」に関係なく、読点の四大原則の一つである「長い修飾語の間に打つ」という原則のためであることがわかる。

次に、「と」の後に主格的語句が来る場合は打つ。

「主格的語句」とは、「私が」「彼は」というような名詞 + 助詞のことだ。この場合は、「と」の後に読点を打たなければならない。

文例を見てみよう。

  • 「久しぶり」と、二人は互いに言葉を交わしながら・・・
  • 「久しぶり」と二人は互いに言葉を交わしながら・・・
  • 「久しぶり」と二人は、互いに言葉を交わしながら・・・

この場合は、「と」の後に読点を打たないという選択肢はない。

ただし、これもかぎかっこの後の「と」と読点について、特別なルールが存在するというわけではない。こうやって、主格的語句の前に読点を打つのは、やはり読点の四大原則の一つ、「かかる言葉と受ける言葉が離れる場合に打つ」が適用されるためだ。

この場合、「『久しぶり』と」という言葉と、それを受ける言葉である「言葉を交わしながら」が離れている。そのため、かかる言葉の方に読点を打たなければいけないというだけだ。

結論

以上。結論として、「と」と読点については、四大原則に従えば解決できる。

「と」を並列表記の繋ぎで使う場合は、「長い修飾語の間に打つ」という原則に従えばいい。そして、かぎかっこの後の「と」の読点については、同じく「長い修飾語の間に打つ」と「かかる言葉と受ける言葉が離れる場合に打つ」という原則に従えばいい。

しかし後者に関しては、四大原則の応用の中でも少し複雑なものなので、わかりにくいところがあるだろう。そこで、次のように別途ルール化しても良い。

  • 「と言って、」「と思って、」のように、「と」の後に述語的語句が来る場合は打たない。
  • 「と、タロウ君は」のように、「と」の後に主格的語句が来る場合は打つ。

もし悩んだら、このルールを思い出すことにしよう。



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