接続詞の前後に読点を打つべきかどうか

結論から言うと、「または」「また」「及び」「かつ」「さらに」などの接続詞の後に、読点を打つべきかどうかについては決まりはない。以下に並べたものの上から三つ目までのうち、最も読みやすくなるものを選べば良い。四つ目だけは、どう使っても読みにくくなるので避けるべきだ。

  • AまたはB
  • A、またはB
  • A、または、B
  • Aまたは、B

「または」を例として挙げているが、他の接続詞でも同じだ。

それでは、接続詞が文頭に来る場合はどうだろうか。これもどちらでもいい。

  • AはBである。またはAはCである。
  • AはBである。または、AはCである。

並列関係を示す「または」という語句を、文の流れの中で強調したい意図がある場合は読点を打てばいいし、ことさら強調する意図はなくサラッと読み進めてほしいなら打たない方がいい。

このように、接続詞に読点をどのように打つべきかというルールは存在しない。

それでは、わかりやすい文を作る上では、どのように判断すれば良いだろうか。『読点の使い方:良文を書くための四大原則と例外ルール』で解説している四大原則のうち、以下の二つに従えば良い。

  • 長い修飾語の間に打つ
  • 読み誤る恐れがある場合に打つ

これらのことを、実際の文例を見ながら確かめていこう。

目次

1. 「または 」の前後に読点を打つべきかどうか

「または」という接続詞は、複数の語句を並列関係で挙げる場合に使う。

読み誤る可能性がある場合に打つ

以下の文例のように文字がかぶっていて、読み誤りを招く可能性がある場合は、ほとんど必ず読点を打つべきだ。

  • さんままたははまち
  • さんま、またははまち
  • さんま、または、はまち

ただし、これでは読点が多すぎてリズム感が悪いように感じる。それでは良い文とは言えない。そこで、このような場合は、読点を打つのとは別の方法で読み誤りを防ぐ方法を検討するべきだ。

まず並べる語句の表記を検討する

わかりやすい文を作るためには、接続詞の読点を検討する前に、まず別の表記方法を考えるべきだ。例えば、「または」を「又は」と書き換えたり、「サンマ」「ハマチ」と書き換えたりすることで、読点を使わずとも読み誤りを防ぐことができる。

  • さんま又はハマチ
  • サンマまたはハマチ
  • さんま、またはハマチ
  • サンマ、または、ハマチ

上から三つ目までを「OK」としているが、一つ目と二つ目の方がベターだろう。

いずれにせよ、読点を打つよりも語句の表記方法を変える方が、スッキリしてわかりやすい文を作ることができる。読点よりも先に、こちらを検討しよう。

長い修飾語の間に打つ

ここまで見てきたのは、並べる語句が短い場合だ。並べる語句が長くなると、読み誤りの可能性があるかどうかに関わらず、読点を打った方がわかりやすい。

以下の文で確認してみよう。

  • 飼い主に忠誠心をもつ5歳の犬または気まぐれで奔放な3歳ネコ
  • 飼い主に忠誠心をもつ5歳の犬、または気まぐれで奔放な3歳のネコ
  • 飼い主に忠誠心をもつ5歳の犬、または、気まぐれで奔放な3歳のネコ

三つ目の文も「OK」にしているが、明らかに二つ目がベストだろう。

2. 「さらに」の前後に読点を打つべきかどうか

「さらに」という接続詞は、外部条件を示す場合に使う。

読み誤る可能性がある場合に打つ

文字がかぶっていて、読み誤りを招く可能性がある場合は、ほとんど必ず読点を打つべきだ。次のような文では、明らかに接続詞の前後に読点が必要だ。

  • 大きささらににおい
  • 大きさ、さらににおい
  • 大きさ、さらに、におい

読み誤る可能性がないのは三つ目だけだが、スマートとは言えない。そこで、語句の表記を検討しよう。

まず並べる語句の表記を検討する

読点が多くなることが気になるなら、語順や言葉を変えれば良い。

  • 大きさ、さらに匂い
  • 大きさ更に匂い
  • 匂い、さらに大きさ
  • 匂いさらに大きさ

これらのうちどれを選ぶべきかは、前後の文とのバランスが関わってくるが、パッと見て、二つ目がわかりやすいだろうか。

長い修飾語の間に打つ

接続詞でつなぐ語句が長い場合は、読み誤りの可能性のあるなしに関わらず、読点を打った方が読みやすい。

  • 全国トップレベルの学業成績、さらに学業以外の分野における際立った業績
  • 全国トップレベルの学業成績さらに学業以外の分野における際立った業績

二つの単文を「さらに」でつなぐ場合も、その後に読点をつけるかどうかは自由だ。以下のような文の場合だとほとんど差はない。

3. 「及び」の前後に読点を打つべきかどうか

「及び」という接続詞は、複数の語句が内包関係であることを示す場合に使う。

読み誤る可能性がある場合に打つ

読点がなければ読み誤る可能性がある場合は、ほとんど必ず打つべきだ。

  • 波及及び浸透
  • 波及、及び浸透
  • 波及、及び、浸透

まず並べる語句の表記を検討する

読点を打たずとも、語句の表記方法を変えることで、わかりやすい文にすることができるなら、そちらを優先するべきだ。

  • 波及および浸透

並べる語句が長いなら読点を打つ

ある程度の長さの語句を接続する場合は、読み誤りの可能性が低いとしても基本的に読点を打った方がわかりやすくなる。

  • 12才以上15才以下及び日本国籍を有する者
  • 12才以上15才以下、及び日本国籍を有する者
  • 12才以上15才以下、及び、日本国籍を有する者

二つ目・三つ目の方がわかりやすいように見える。NGとしているが、一つ目が特に問題があるわけでもない。悩むところだ。すべての接続詞に言えることだが、こうした場合は、前後の文とのバランスを見て調節することも重要だ。

例えば、以下の文では、読点を打たない方に軍配があがるだろうか。

  • この本に登場する人物の中で、12才以上15才以下及び日本国籍を有する男性、18才以上21才以下及び日本国籍を有する女性を3人答えなさい。
  • この本に登場する人物の中で、12才以上15才以下、及び日本国籍を有する男性、または18才以上21才以下、及び日本国籍を有する女性を3人答えなさい。

4. 「かつ」の前後に読点を打つべきかどうか

「かつ」という接続詞は、「及び」とまったく同じ働きをする。

読み誤る可能性がある場合に打つ

極端な例だが、以下のように読み誤る可能性が高い場合は、ほとんど必ず読点を打つべきだ。

  • いかかつつな
  • いか、かつつな
  • いか、かつ、つな

まず並べる語句の表記を検討する

しかし、読点を打つかどうかを考える前に、語句の表記方法を考えるべきだ。

  • イカかつツナ

並べる語句が長いなら読点を打つ

読み誤りの可能性がないとしても、接続する語句がある程度の長さを有する場合は、読点を打つ方にやや傾く。

  • 12才以上15才以下かつ日本国籍を有する者
  • 12才以上15才以下、かつ日本国籍を有する者
  • 12才以上15才以下、かつ、日本国籍を有する者

一つ目をNGとしているが、問題があるわけではない。言ってしまえば、いずれの書き方も問題ない。結局、前後の文によって、うまく調節する必要がある。たとえば次の二つの文では、読点がないものの方が、文章の意図とより合致しているため読みやすい。

  • この本に登場する人物の中で、12才以上15才以下かつ日本国籍を有する男性、または18才以上21才以下かつ日本国籍を有する女性を3人答えなさい。
  • この本に登場する人物の中で、12才以上15才以下、かつ日本国籍を有する男性、または18才以上21才以下、かつ日本国籍を有する女性を3人答えなさい。

5. まとめ

以上、見てきたように接続詞の読点の扱いについて特別に悩むことはない。読点の打ち方の基本的なルールである、次の二つに従えば良い。

  • 読み誤りを防ぐために打つ
  • 長い修飾語の間に打つ

「接続詞だから特別に読点の打ち方を気をつけなければいけない」と悩む必要はない。あくまでも基本的なルールを適用するだけだ。ただし、読点とは無関係に、語句を検討することによって、読点を使わなくても分かりやすく読みやすい文になるように心がけるべきだろう。

以上が、接続詞と読点についての全てだ。



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